「黒い服」のはなし【Vol.4】大人の女性が黒に頼ってはいけない理由(後編)

2024.02.08 (木)

~わたしを磨く色彩の魔法~

 
あなたは「黒い服」が好きですか? 黒をよく身に着けますか? 今回は「黒い服」についてお伝えする連載の第4回です。

 

大人の女性が黒に頼ってはいけない4つの理由

 
【Vol.3】の記事でお伝えした、大人の女性が黒に頼らない方がいい「4つの理由」のおさらいです。黒い服を着たとき、あなたの「見た目」と「心」には、こんな変化が起きているかもしれません。

 
1. 顔が暗く、険(けわ)しく見える
2. 雰囲気が、重たく見える
3. 無意識に、人と距離を置いてしまう
4. 自分の気持ちを抑えて、我慢をしてしまう

 
今回は後半の2つ、心に与える影響についてお話しします。

 
「黒い服のはなし【Vol.3】大人の女性が黒に頼ってはいけない理由(前編)」はこちらからご覧いただけます。

 

無意識に、人と距離を置いてしまう「黒」

 

 
「惹かれる色」が心理とつながっていることは、すでにお話ししました。人がある色に惹きつけられる大きな理由は、その色のイメージや意味が気持ちにマッチしているから。その色に感じるイメージと同じものが自分の中にある時「心を語ってくれる色」に惹かれることもあります。そのイメージにあたるものが今の自分に足りなくて「求めている色」に惹かれることもあります。

 
「白」「グレイ」「黒」は、色みを持たない色で「無彩色(むさいしょく)」といいます。一般に、無彩色は「自分の感情を抑えている、内に秘めている」時に惹かれやすい色です。

 
無彩色の中でも、とくに「黒」に惹かれるのはどんな心理の時でしょう?

 
「強い意志を持ちたい」「自己を確立していきたい」「プロフェッショナルでありたい」など、ポジティブな気持ちが黒のイメージとマッチしていることもあります。また、「感情を出したくない」という思いが投影されることもあります。

 
たとえば、「黒」を思春期によく身に着けていた、仕事の大事な場面で着ると落ち着く、トレーニングをする時に着たい、という方も多いかもしれません。自立する自分、強くありたい自分、集中したい自分、クールでありたい自分、ストイックでありたい自分。そんな自分を支える色として、黒に惹かれているといえるでしょう。

 
また、「自分の心を守りたい」と感じる時に「黒」を選ぶこともあります。そして、「感情が動かない」「悲しみを抱えている」時に惹かれることもあります。喪服の色が「黒」であることにも意味があるのです。

 
そして、「感情を抑えている」「人と距離を置きたい」など、少しネガティブな黒のイメージが気持ちにマッチしている時に惹かれることもあります。「反抗」「怒り」の感情が黒と結びつくこともあります。

 
「鎧(よろい)をまとっているイメージ」というとわかりやすいかもしれませんね。黒い服は、自分を強くしてくれるというプラス面もあるけれど、人を寄せ付けないというマイナス面もあるのです。

 
プラスであれ、マイナスであれ、色に惹かれるのはその時の自分に必要だから。悲しみを抱えている時も、人と関りたくない時も、怒りの気持ちがある時も、黒が身近にあることで心が落ち着くかもしれません。惹かれる色は、その時の自分を支えてくれる大切な色です。
 

 
ただし、マイナスの感情が色に投影されている場合、その色だけにこだわり続けない方がいい理由があります。なぜなら、身近にある色は気持ちに影響を与えるからです。黒はとても強い色。「抑圧・怒り・悲しみ・不安・孤独・絶望感」などのイメージが、黒のマイナスの側面です。

 
黒い服に慣れてしまうと、だんだん他の色を受け入れ難くなってきます。毎日鏡に映る「黒い服を着た自分」を見ていれば、黒のイメージがセルフイメージに重なって固まってしまうかもしれません。その結果、あなたの中にいるさまざまな自分、たとえば、無邪気な自分、開放的な自分、優しい自分、頼りたい自分、安らぎたい自分・・・を表現しづらくなるかもしれません。

 
さらに、周囲の人からも「威圧的」に見えたり、「人との間に壁をつくっている」ように感じられたりして、無意識に「心理的な距離」を置かれてしまう可能性があります。いつも着ている服の色は、あなたの印象と重なりやすいでからです。「本来の自分を知って欲しい」と感じる相手に会う時は、「自分らしさを表現できる色」を着て出かけましょう。

 

自分の気持ちを抑えて、我慢をしてしまう「黒」 

 

 
「黒」は、感情を抑え込むイメージともつながる色です。
少しだけ、専門的な話になります。さまざまな色は、物体が「特定の波長の光を反射する」ことで見えるのですが、黒だけは、光を反射せず「すべての光を吸収する」ことで見える色。それで「すべて内側にしまいこんでいる」「外側に表現していない」というイメージと結びつきやすいのです。さらに、最も重たく感じる色「黒」は、心に上から重石(おもし)をのせているような「感情を抑圧する」イメージとつながることもあります。

 
感情を抑えている時に「黒」に惹かれ、そばに「黒」があると心が落ち着く。それで身近に「黒」ばかりを置くと、さらに気持ちを外側に出せなくなる。そんな悪循環も起きてしまいます。実は、自己分析のぬり絵セッションに来てくださる大人の女性たちの中にも、「いつも黒ばかり身に着けている」という方が多くいらっしゃいます。お話を伺ってみると「知らずしらず、本当の気持ちを抑えている」ケースが多いです。家族や仕事の人間関係の中で、我慢をしてしまったり、辛いことや大変なことを一人で抱えていたり、自分の「やりたい気持ち」よりも他者の意向を優先したりしています。「それでも自分が頑張らなければ」と、無意識にも自身にプレッシャーをかけているのです。

 
以前、ぬり絵セッションにきてくださった女性Aさんのお話です。
セッション当日の服装は「黒」。表情は堅い感じに見えます。これまでも長く「黒」を身に着けることが多く、外でも家でも「黒」を着ているといいます。それが、最近になって「虹色」が気になり出しました。絵を描く経験をお持ちのAさんは「虹が描きたい」とWEB検索し、私のホームページを見つけセッションに来てくださいました。色彩表現を通して話を伺い、ずっと「黒」に惹かれていた理由がわかってきました。

 
Aさんは、数年前に離婚をされました。何年ものあいだ希望していたけれど離婚は簡単でなく、長く大変な時期が続きました。そして離婚が成立した直後には体調を崩し、メンタルも弱ってしまいます。しばらくは静かに過ごし「最近やっと体調も回復し、気持ちも上向きになってきた」そうです。そんな時期に、黒以外の「彩り」に惹かれるようになったのです。

 
Aさんはこれまで、「黒」に囲まれることで自分の感情を抑え、同時に自分を支えてきました。気持ちが上向きになってもまだ、「黒い服」を手放すことに躊躇があったようです。感情を解き放つことに慣れていなかったからかもしれません。一気に心を開くことは難しくても、無理せず自分のペースで少しずつ「色み」を取り入れれば、心の動きを感じたり、受け入れたり、表現できるようになっていきます。

 
ぬり絵を通して心と向き合い、それを言葉にしたAさん。お帰りになる頃には、表情がとてもやわらかくなっていました。彩りを少しずつ取り入れながら、自分に優しくすることをゆるしながら。心はだんだん軽やかになっていくことでしょう。

 
さて、「黒」に惹かれるあなたはどうでしょう? 頑張りすぎていませんか? 自分の気持ちや願望をいつも後回しにしていませんか? 
 

「自分の気持ちを抑えているかもしれない・・・」と気づいたあなたへ。
色は感情とつながっています。気持ちを軽くしてくれる「明るい色」や、活動的にしてくれる「鮮やかな色」、安らぐことができる「淡い色」など、黒以外の色を少しずつ取り入れてみてください。初めは着なれない、落ち着かない気がしても、だんだん慣れていくので大丈夫です。色を通して、自分の中のさまざまな感情を解放してあげてくださいね。

 
***

 
4回に渡り、「黒い服」についてお伝えしてきました。
「黒い服」は、今のあなたの「見た目」と「心」に本当に合っていますか? 黒は、強い意志を表現できる、凛とした、カッコいい色。「あえて」選べば、あなたの味方になってくれます。けれど、あなたの個性や本来の魅力が、黒では表現できないとしたら・・・。今、黒ではない「あなたの色」を見つけるチャンスです。ぜひ、いろいろな色にトライしてみてください。

 
「黒い服のはなし【Vol.1】リトル・ブラック・ドレス」はこちらから。

「黒い服のはなし【Vol.2】大人の女性が魅力的に黒を着るために!」はこちらから。

 
「私を磨く色彩の魔法」次回もお楽しみに!

 
***

 
*色には必ず、ポジティブな側面とネガティブな側面があります。また、ここで解説している色のイメージ・意味は、色の持つ一般的なイメージ・意味の一部になります。色には、「多くの人の共通語になっている意味」もあれば、「個人的な経験とつながる意味」もあります。「この色は良い色」「この色は悪い色」という区別はありません。

 
*参考文献 :『なぜ、あなたは「黒い服」を着るのか 人生が変わる色の魔法』佑貴つばさ著 マキノ出版、『色とココロの教科書 驚くほど自分の可能性がわかる色彩心理』佑貴つばさ著 ごきげんビジネス出版

 
< 本記事は、佑貴つばさがウェブマガジン【作家たちの電脳書斎デジタルデン】に寄稿し 2022/8/21 に掲載された記事を、デジタルデン許可の元に転載したものです >
旧:WEBマガジン「作家たちの電脳書斎 デジタルデン」公式掲載原稿
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