「黒い服」のはなし【Vol.1】リトル・ブラック・ドレス

2024.02.08 (木)

~わたしを磨く色彩の魔法~

 

あなたは「黒い服」が好きですか?

 
黒いワンピース、黒いスーツ、カットソー、スカート、パンツ・・・「黒い服」を着ている方を、街中で、たびたび見かけます。「黒い服」は、老若男女を問わず、とても人気がありますね。

 
あなたも、ふだん「黒い服」を着ることがありますか? 黒い服を何枚持っていますか? 毎日のように黒い服を着ている、クローゼットの中の洋服は黒ばかり、という方も多いのではないでしょうか。
 

 
では、「黒をよく着る」という方にお尋ねします。あなたは「黒い服」が、ほんとうに好きですか?

 
無数にある色の中から、「あえて、黒を選んで」身に着けていますか?
それとも、「とりあえず、黒は無難だから」という理由で着ていますか?

 
「意志が強い、凛とした、スタイリッシュ、高級感、存在感・・・」というプラスのイメージもあれば、「暗い、重苦しい、威圧感、自己抑制、孤独・・・」というマイナスのイメージにもつながる強い色、それが「黒」です。

 
「あえて、黒」を選んでいるあなたは、きっと「颯爽と、カッコよく、自分らしく」オシャレに「黒」を着こなしていることでしょう!

 
けれども、あなたが「とりあえず、黒」を選んでいるとしたら・・・

 
今回から数回に渡り「黒い服」についてお伝えしてまいります。

 

シャネルの「黒いドレス」は、自由な女性のための服

 

 
私は、「色とココロのコンシェルジュ」として仕事を始める前の25年間、フランスのラグジュアリーブランド、シャネルの日本法人で働いていました。「黒」は、シャネルのイメージカラーのひとつでもあります。

 
「黒」を、革新的に、女性のスタイルとして取り入れたのは、他でもない、ガブリエル・シャネル(ココ・シャネル)。ブランド「シャネル」の創業者です。

 
シャネルが発表した「リトル・ブラック・ドレス」。フランス語では「プチト・ローブ・ノワール」。艶のないマットな素材、飾りの無い、ほっそりとしたシルエットの、洗練された黒いドレスは、女性たちを魅了しました。
 

 
シャネルが「黒」を女性の服装に取り入れる以前のこと。階級の高い女性たちの服装は、「女性のためのもの」ではありませんでした。パートナーの男性の経済力に合わせて女性の服装が決められた時代に、男性の威厳を示すための装いであり、コルセットで腰をきつく締め付けてから着るドレスが主流でした。

 
女性の装いは、その「形」も、表現する「意味」においても。女性が「自由に」「自分のために」着られるものでは無かったのです。

 
第一次世界大戦(1914~18年)が起こり、それにより男性が街から姿を消し、街に暮らす女性も働く時代が到来します。装いにも「男性のために着飾るドレス」から「女性が生きていくためのドレス」への変化が訪れました。

 
そんな時代背景の中、シャネルは女性のために「ジャージー素材」を使ったドレスを発表します。伸縮性のあるジャージー素材は、当時、男性用の下着やスポーツウェアに用いられていたもの。この動きやすい素材を使って、シャネルは、女性をコルセットから解放しました。

 
1926年、シャネルが40代初めの頃です。それまでは、男性が身に着ける色、労働の色であり、女性がふだん着ることのなかった「黒」を、「シンプルで、完璧な優雅さを備えたドレス」として取り入れたのです。

 
女性を「飾り立てた、裾の長い、コルセットで締め付けられた装い」から解放したシャネル。男性の付属物として扱われていた女性を「新しい生き方」へと導いたシャネルのスタイル。シャネルの「黒いドレス」は、女性の「体」も「心」も解放しました。

 
シャネルの「黒」は、自立し、自由な心で生きる女性のための黒だったのです。
 

 
もしもあなたが、「黒い服」を「無難だから」という理由で選んでいるとしたら、もったいないですよね! もう終わりにしませんか?

 
現代に生きる私たちは、もっと自由に、自分の色を、自分の生き方を、自分で選ぶことができるのですから。

 
以前デジタルデンに掲載した記事「強い意志が持てる色・黒」はこちらからご覧いただけます!

 
「黒い服」のはなし。次回は、大人の女性が魅力的に「黒」を着るためのポイントについてお伝えします。お楽しみに!

 
*色には必ず、ポジティブな側面とネガティブな側面があります。また、ここで解説している色のイメージ・意味は、色の持つ一般的なイメージ・意味の一部になります。色には、「多くの人の共通語になっている意味」もあれば、「個人的な経験とつながる意味」もあります。「この色は良い色」「この色は悪い色」という区別はありません。

 
*参考文献 :『なぜ、あなたは「黒い服」を着るのか 人生が変わる色の魔法』佑貴つばさ著 マキノ出版、『色とココロの教科書 驚くほど自分の可能性がわかる色彩心理』佑貴つばさ著 ごきげんビジネス出版

 
< 本記事は、佑貴つばさがウェブマガジン【作家たちの電脳書斎デジタルデン】に寄稿し 2022/7/10 に掲載された記事を、デジタルデン許可の元に転載したものです >
旧:WEBマガジン「作家たちの電脳書斎 デジタルデン」公式掲載原稿
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