小池百合子都知事のスーツ。色の効果を使った自分の魅せ方が上手いですね。

2016.08.16 (火)

新東京都知事の小池百合子氏。
「色の使い方」が上手いなぁと感じています。
パーソナルスタイリストがアドバイスをしているのでしょうか。
スーツの色を場面によって使い分け、演出しているようです。

 

都知事選では「緑のハチマキ・ストール、黄緑のスーツ」

 

色鉛筆-黄緑-1

 

都知事選での小池氏。
「鮮やかな緑」色のハチマキをして、選挙戦に臨んでいました。
テーマカラーを「緑」に決め、スカーフも緑色。
スーツは黄緑。都民に「緑」色のモノを持って集まるよう呼びかけ
色で「連帯感」をつくり出していましたね。

 

「緑」は、東京都のシンボルマークの色。
東京都のシンボルマークには「躍動・繁栄・潤い・安らぎ」が表現されています。

 

東京都シンボルマーク(東京都庁ウェブサイトより)

(出典 : 東京都ウェブサイト)

 

「緑」の持つ一般的なイメージの中で
ポジティブなものには「自然・安らぎ・平和・バランス・安全・落ち着き・新鮮・健康・生命力」などがあります。

 

色の持つイメージだけを考えると、実は「戦闘服」というより「平和・バランス・安心」の色といえますが
小池氏にとっては「選挙を戦った時の服の色」という意味があったのですね。
初登庁の日の会見で「緑は、戦闘服」という表現を使っていました。

 

初登庁は「白のスーツに、青のインナー」

 

色鉛筆-白・青・緑-1

 

8月2日、初登庁の日。
小池氏は「白」のパンツスーツに、インナーは「青」
記者から、スーツの色について質問を受けた時に
「緑は戦闘服。今日は、ブルーオーシャン」と答えていました。

 

【「ブルーオーシャン」は、経営学の用語で、競争のない未開拓市場のこと。新しい商品やサービスを開発・投入することで創出される競合相手のいない市場。
「レッドオーシャン」は、経営学の用語で、血で血を洗うような激しい価格競争が行われている既存市場のこと。(出典:「goo 国語辞典」)】

 

小池氏の言葉「ブルーオーシャン」は「競争のない海」
それで「戦いが終わった」ことを意味していたようです。

 

スーツの色は「白」。
「白」が持つ一般的なイメージの中で
ポジティブなものは「決意・理想・スタート・リセット・純粋・清潔・新しい・明るい・未来・神聖」などがあります。
とくに「純白(真っ白)」の場合には「完璧主義・緊張」などもあります。

 

「白」は「スタート」の色。
「心機一転・リセット・リスタート」の時。
「理想・決意」がある時。
そんな時に惹かれる色であり、また、そんな気持ちを高めてくれる色でもあります。

 

興味深いことがあります。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣に就任した
丸川珠代(まるかわたまよ)氏。
普段は「赤いジャケット」または「白いジャケットでも、インナーは赤」の印象が強いのですが
就任会見の時に小池氏の初登庁時と同じ「白のスーツに、青のインナー」を着ていました。

 

これは「同調行動」のように見受けられます。

 

【同調行動(どうちょうこうどう) : 集団規範、慣習、他者の反応に一致するような行動様式であり、広く人間が行う適応の一形態である。(出典:コトバンク ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説)】

 

「同調行動」を用いることで
相手に親近感や共有性を感じさせ、好印象を持ってもらうこともできる、とされています。
丸川氏は、同じ色の洋服で「一体感や尊重する気持ちをアピールする」
そんな演出だったのかもしれませんね。

 

安倍首相との会談では「水色のジャケットに、鮮やかなピンクの花柄ワンピース」

 

色鉛筆-ピンク-1

 

8月4日の安倍首相との会談。
小池氏は「水色のジャケット」「鮮やかなピンクの花柄ワンピース」を着ていました。
華やかな印象でしたね。

 

「青」は、一般的に「自立・冷静・知性・誠実・集中」などをイメージさせる色です。
「青」にも、明るく澄んだ空色から、濃く沈んだ深い紺色まで、様々なバリエーションがありますが
とくに「青空の色(明るい青)」の一般的なイメージには
「希望・解放感・オープンマインド・積極性・自立」などがあります。

 

そして、ワンピースの柄の色。
「ピンク」が持つ一般的なイメージの中で
ポジティブなものには幸福感・高揚感・愛・恋・優しさ・安らぎ」などがあります。

 

安倍首相と会談した時の小池氏の装いは
「希望・喜び・高揚感」などの感情を表現するためのものだったのかな、と想像できますね。

 

次にご紹介する「グレイ」のスーツの印象と比べると、その意味の違いに気づくかもしれません。

 

森元首相との会談では「無彩色。濃いグレイのスーツに、白のインナー」

 

色鉛筆-無彩色-1

 

8月9日、東京オリンピック組織委員会会長の森喜朗氏との会談。
犬猿の仲と言われる森元首相との会談に臨んだ小池氏の服装は
「濃いグレイのパンツスーツ」に「白のインナー」
スーツもインナーも、色みを持たない色「無彩色」を選んでいました。

 

「黒・グレイ・白」は、色みを持たない色「無彩色」に分類されます。

 

無彩色は「感情を抑えたり、内に秘めている時」に惹かれる色。
また、感情を抑えているように演出できる色、ともいえます。
とくに「濃い暗いグレイ」は「黒」の持つ印象に近く
「自律・自己抑制・自己確立」などのイメージを持っています。
そんな気持ちで会談に臨んだのかな、と想像させられます。

 

「色彩心理」
色は、体験・記憶、イメージと結びついていて
人はそれぞれの色に、自分にとっても意味を持たせています。
ぜひ、ご自身の生活にも「色彩心理」を活かしてみてくださいね。

 

色のサポートを受けながら、今日も素敵な一日を。

 

< 色には、必ず、ポジティブな側面、ネガティブな側面があります。また、色彩とどのようにつきあってきたか、個人的な経験によって、同じ色にも多様な意味があります。「良い色」「悪い色」というのは、ありません。>

 

(タイトル写真&文中に使用した塗り絵図柄 : © 末永蒼生 HEART & COLOR CO.,LTD / 参考文献 : 『心を元気にする色彩セラピー』末永蒼生著 PHP研究所、『色彩心理のすべてがわかる本』山脇惠子著 ナツメ社、『なりたい自分になるための「色」の掟。』高坂美紀著 講談社、東京都ウェブサイト、goo 国語辞典、コトバンク)

 

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文中に使用したぬり絵図柄 : © 末永蒼生 HEART & COLOR CO.,LTD

 

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