あなたは普段、何色の服を着ることが多いですか? いつも、好きな色・着たい色の服を着ていますか? あなたがほんとうに身に着けたいと感じている色は、何…
選ぶ色や柄でも自分を表現している
前回のコラムでは「ほんとうに好きな色は、ホンネと一緒にバッグの中に隠れている」ことをお伝えしました。
今回のコラムでは、言葉による自己表現が苦手だった私自身のこと。そして、「言葉の代わりに無意識に服で自己表現していたこと」についてお話しします。
私はずっと自己表現が苦手でした
会社員を辞め50代で色彩の仕事を始めてから、私は大勢の人の前で自分のことを(緊張はしますが)話せるようになりました。でも実は、幼い頃から人見知りで、自分のことを人に話すのはとても苦手でした。話す声も子どもの頃から小さかったです。
「控えめがいい」「でしゃばるのは、みっともない」「恥をかかないように」と、強く両親に言われて育ったことも、自己表現が苦手な理由の一つだと思います。自分自身に厳しく怖かった父の前で、いつも静かにしていたことも、話すことが苦手になった理由の一つでしょう。私はとても引っ込み思案で、自分について素直に人に伝えることができませんでした。
けれど、誰にとっても自分を表現することは必要です。子どもの頃の私は、話すことで自己表現ができない代わりに、絵を描くことで自分を表現していました。(それが、今の仕事につながっています)
大人になってもいつも聞き役でした。「ほんとうに私の話を聴きたいと思っているのだろうか」「自分のことを話したら相手は受け入れてくれるのだろうか」。そんな不安が心の奥にあって、自分を素直に表現することができなかったのかもしれません。
失敗が怖くて、会議で発言するのも苦手。外資系企業にいたのですが、英語で話す場面ではさらに躊躇してしまいました。「意見を言おうか、どうしようか」と迷っているうちに、次の議題に移ってしまうことも度々ありました。
ほんとうは、自分を表現したかった!
そういえば社会人になってから、会社の先輩に「普通のいい子よね」と言われたことがあります。彼女にとっては、おそらく悪気なく発した言葉でしょう。
けれど、その時の私はとてもショックを受けました。ショックを受けた理由は、きっと「ほんとうの私は違う」という強い気持ちがあったから。
話す声も小さくて、いつも聞き役。大人になっても、自分を言葉で上手く表現できなかった私ですが、実は、他の方法で自分の強い気持ちを表現していました。
それは「服」です。
ある時期から頻繁に選ぶようになったのは、「大きな花柄」や「大胆な幾何学模様」。色の組み合わせもコントラストが強い、はっきりしたもの。
言葉で表現できない自分の強い心、はっきりとした意思を、私は「服」で表現していたのだと、後になって気づきました。
私が、自分の中で勝手につくった「控えめにしなければならない」というルールがいつも私を縛りつけて、なかなか抜け出すことができなかったけれど。本当の私の心の中には、「自分を表現したい」「自分の意見を伝えたい」「ほんとうの私を分かって欲しい」という思いが常にあったのですね。
「苦手な人」と「苦手な色」の関係
そんな私ですから、以前は、自己表現・自己アピールが上手な女性が苦手でした。そして、そんな女性をイメージさせる色は、私にとっては「オレンジ」でした。
オレンジって親しみやすいイメージを持っていて、好きな人も多いと思います。人がオレンジ色に感じる一般的なイメージや意味には「元気・活発・冒険心・向上心・積極性・陽気・社交的・カジュアル・温かい・自己アピール・落ち着きがない・わがまま・安っぽい」などがあります。
私は、幾つもあるオレンジのイメージの中でも、とくに「自己アピール」のイメージを苦手な人に重ねて見ていたわけです。自分を上手くアピールできる人のイメージは、私にとっては「オレンジ」。そして「控えめな人」のイメージは「青」。オレンジと青は反対色。
自分を抑えている私と正反対に見える自由な女性。「うらやましい、私もそうしたい」そんな気持ちを、心の奥に閉じ込めていたからこそ、持っていた苦手意識でした。
自分のルールをやぶってみると・・・
「控えめにしなければならない」は、私の心の中にある私だけのルール。そのルールに従うために私が我慢していることを、普通にしている人だからこそ「嫌い」と感じてしまった。それで「オレンジ」という色までもが、長い間ずっと苦手だったのです。
そう気づいてから私は、「控えめにしなければならない」という自分のルールを少し破ってみました。
いつも他の人に「場」をゆずっていた私が、大勢の人の前で自分のことを堂々と話してみました。すると、これがけっこう気持ちいいのです。人前で自分を表現することに慣れていない私は、持ち時間をオーバーしてしまうという失敗も、何度か経験しましたが(笑)
上手くはできないながらも、こうして自分を表現しているうちに私は、自己アピールが上手な人への苦手意識が薄らいでいきました。それと同時に「オレンジ色」も身近に取り入れられるようになっていったのです。
「あの人が苦手」「あの人が嫌い」の理由は、「あの人」ではなく「自分の心の中」にあります。。無意識(潜在意識)に押し込んだ、自分で認めたくない欲求。その部分を刺激してくる人に対して、私たちは「苦手」「嫌い」という感情を抱いてしまう。
もしもあなたが、かつての私と同じように自分を表現するのを躊躇しているとしたら。「こうしなくてはならない」の「枠」を、一度はずしてみてはどうでしょう?
自分で自分に少しあまくしてみると、他の人の言動もあまり気にならなくなるもの。
他の人が気にならなくなれば、あなたの心は、とても軽く自由になれるはずです。
*参考文献 :『なぜ、あなたは「黒い服」を着るのか 人生が変わる色の魔法』佑貴つばさ著 マキノ出版、『色とココロの教科書 驚くほど自分の可能性がわかる色彩心理』佑貴つばさ著 ごきげんビジネス出版
*色には必ず、ポジティブな側面とネガティブな側面があります。また、ここで解説している色のイメージ・意味は、色の持つ一般的なイメージ・意味の一部になります。色には、「多くの人の共通語になっている意味」もあれば、「個人的な経験とつながる意味」もあります。「この色は良い色」「この色は悪い色」という区別はありません。
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