~50代で起業した佑貴つばさの「色とココロ」のはなし~ 目次1 先日、TVのインタビュー番組を観ていたら…2 ビジネス総合誌『プレジデント』の取材…
あなたの好きな色は、どんな思い出とつながっていますか?
~わたしを磨く色彩の魔法~
色は「記憶」とつながっている
一昨年、『香水』という瑛人さんの曲が大ヒットしました。「元カノの香水の香りが、付き合っていた頃の気持ちを思い出させる」という内容の歌詞のように、「香りがきっかけで記憶がよみがえった」という経験を持つ方は多いかもしれません。「五感」の中でも、とくに「嗅覚」で受け取った情報、つまり「香り(匂い)」は、長く記憶に残りやすいのです。
そして、実は「視覚」で受け取った情報である「色」も、記憶と結びつくことがあります。もしかしたら、あなたが「ずっと好きな色」は、「子どもの頃の楽しい思い出」や「大切な人のイメージ」と結びついているかもしれません。
色の持つイメージ・意味には、大きく2つの種類があります。ひとつめは「赤は情熱、青は冷静」のように、多くの人の共通語になっている一般的なもの。もうひとつは「個人的な経験・記憶」とつながる多様なもの、その人にとってオリジナルのイメージや意味です。
あなたの好きな色は何色ですか? あなたが好きな色、気になる色は、どんな体験や記憶とつながっているのでしょうか?
今回は「色と記憶とのつながり」について、3つの事例をお話しますね。
「育った環境」のイメージの色(事例1)
以前、友人女性と一緒にランチをした時のことです。
その日友人が着ていたのは、少し光沢のある「モスグリーン(くすんだ黄緑色)」の素敵なハーフコート。
「色がきれいね」と私が伝えると、
「このコートが大好きで、ずっと着ているの」
「この色を身に着けていると、なんだか安心するの」
と教えてくれました。
色について会話を重ねていくうちに、緑に少し茶色が混ざったようなその色は、彼女の「子どもの頃の記憶」とつながっていることがわかってきました。それは、懐かしい思い出と結びつく「原風景(げんふうけい)の色」だったのです。
「あっ、そうだ。育った環境にあった自然の色だ!」
彼女自身もその会話の途中で気づいたようです。そして、その色は「育った環境の色」であるのと同時に、「優しいお父さまのイメージ」とも重なる色だとわかりました。
彼女が「モスグリーン」を好きな理由。それは「子どもの頃の楽しかった記憶や安心感」とつながり、今も彼女の心を支えてくれる色だからなのです。
「いちばん好きな自分」に戻れる色(事例2)
「ぬり絵ワークショップ」にきてくださった女性のお話。
以前から「何かつらいことがあった時に、決まって惹かれる色」があるそうです。その色は「マゼンタ(赤紫)」。ぬり絵に使った「マゼンタ色」を見ながら会話を重ねて、彼女の記憶をたどってみました。
すると、「思い出しました!」と彼女がいいました。
「子どもの頃に着ていたワンピースの色です」
「この色のワンピースを着ていると、母や祖母にいつも『可愛いね』って褒めてもらえたんです」
彼女にとって「マゼンタ」は、「自己を回復するときに必要な色」でした。つらいこと、悲しいことがあった時に、彼女は色を通して、子どもの頃の「幸せな記憶」を無意識に思い出していました。そして、その色に、記憶に、励まされていたのです。
「母のイメージ」の色(事例3)
3つ目は、私自身の話を少しさせていただきます。
私は、明るい青紫色である「ラベンダー色」や「藤色」がとても好きです。私にとって「安心感があり幸せな気持ちにさせてくれる色」なのです。色を通して自分と向き合った時に「なぜその色が好きなのか」について発見がありました。
たしか、小学校の授業参観日だったと思うのですが、母が着物を着て学校に来てくれたことがあります。その日、母は肩に「手編みのショール(ストール)」を掛けていました。
その色が「明るい青紫色」でした。その時の母がとても綺麗に見えて。嬉しくて、クラスの皆に自慢したくなった、そんな気持ちを今も覚えています。こんなに大人になった今、ちょっぴり気恥ずかしいのですが、「明るい青紫色」は私にとって、優しい母の記憶なのです。
私が色彩を仕事にするため会社を辞めた日の半年前に、突然亡くなった母。今、デスクの前に飾ってある写真の母は「藤色」のブラウスを着ています。気づくと、やはりこの写真を選んでいました。明るい青紫色は「母の記憶」であり、私を落ち着かせ、力をくれる色なのです。
さて、あなたが好きな色は、どんな記憶とつながっているのでしょうか?
時には古いアルバムをめくりながら、あなたの原風景を思い出してみてはいかがでしょうか。色をきっかけに、「あなたの心が大切にしているもの」に気づくことができるかもしれません。
私が行っている「ぬり絵セッション」にも、子ども時代から現在までの自分を色でたどる「カラーヒストリー」というワークがあります。詳しくは、また別の機会に。
今日は「色と記憶とのつながり」についてお伝えしました。次回もお楽しみに!
*色には必ず、ポジティブな側面とネガティブな側面があります。また、ここで解説している色のイメージ・意味は、色の持つ一般的なイメージ・意味の一部になります。色には、「多くの人の共通語になっている意味」もあれば、「個人的な経験とつながる意味」もあります。「この色は良い色」「この色は悪い色」という区別はありません。
*参考文献 :『なぜ、あなたは「黒い服」を着るのか 人生が変わる色の魔法』佑貴つばさ著 マキノ出版、『色とココロの教科書 驚くほど自分の可能性がわかる色彩心理』佑貴つばさ著 ごきげんビジネス出版
< 本記事は、佑貴つばさがウェブマガジン【作家たちの電脳書斎デジタルデン】に寄稿し 2022/3/6 に掲載された記事を、デジタルデン許可の元に転載したものです >
旧:WEBマガジン「作家たちの電脳書斎 デジタルデン」公式掲載原稿
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